自宅の裏庭には井戸があり、豊富な地下水がコンコンと湧き出て池に流れ込んでいた光景は今でも鮮明に記憶している。
その井戸の水をモーターで汲み上げてお勝手や洗面所、お風呂などに使っていたのだが、この日立製作所謹製電気モーターがチョクチョク壊れて動かなくなり、水道が使えないことがあった。
モーターというものは基本的に壊れるものだという痛い教訓が刷り込まれたのはこの頃のことに違いない。
そんな経験がトラウマになったのか、若いころはクルマで”電動”とか”自動”とかいう文字が頭に付くモーター制御システムはあまり好きではなかった。
ウィンドウもサンルーフも万が一開いた状態でモーターが壊れた日にはたまったもんではない。
以前ギャランVR4に乗っていた時、中央道を爆走中にオルタネーターがこっそり死んだ経験がある。
調布の料金所で支払いのために停車したらそのままエンジンが停止し、セルモーターがピクリとも動かずに青ざめたことがある。
インターを降りたすぐのところにあった三菱自動車の営業所に救済してもらった記憶がある。
”電動”、”自動”は怖い! のである。
今乗っているパサートはと言うと、これがもう嫌いだった”電動”、”自動”のオンパレードだったりする。
このクルマにはパーキングブレーキレバーが無い。
上の写真でシフトレバーの右の「P」ポジション表示の更に右側にあるちょっと黒光りしたボタンがパーキングブレーキスイッチだ。
このスイッチ、通常のパーキングブレーキレバーの操作と似ていてスイッチを引き上げるとブレーキが掛かり、押し下げるとブレーキがリリースされる。
停車中にこのボタンを操作すると、パーキングブレーキを動かすためのかなり大きなモーター作動音がリヤセクションから聞こえてくる。
以前はただの押しボタン式だったらしいのだが、通常のパーキングレバー操作と操作感を同じにするために上下動スイッチになったのだとセールス氏が言っていた。
ただ、通常発進時はアクセルペダルを踏み始めるとパーキングブレーキは自動でリリースされる。
また、一つ手前にある「Auto Hold」モードスイッチをオンにしておけば、クルマを停車させシフトレバーを「P」ポジションに入れると自動でパーキングブレーキがオンの状態になる。
このため、「Auto Hold」モードをオンにしておくと、このパーキングブレーキボタンを操作することは殆ど無い。
シートベルトをしていないとか、運転席ドアが開いているなどの通常走行状態ではない場合にはパーキングブレーキは自動でリリースされないようになっているため、ガレージでちょっとクルマの位置を移動したいようなときにはこのボタンを操作してパーキングブレーキを操作する、その程度だ。
最近、オートマチック車の信号待ち停止状態でうっかりブレーキを踏む足が緩んで、クリープ現象により前のクルマに”コッツン”してしまうという事故をよく耳にする。
お年寄りドライバーのこのような事故が少なくないようだ。
こういう仕組みはこれからの高齢化クルマ社会では必須機能にしても良いのではないかと思う。
「Auto Hold」モードとパーキングブレーキの連動はとても快適で、最近では常にオンの状態で使用している。
慣れとは怖いもので、このシステムがない代車のゴルフ6で若干傾斜した自宅のガレージにクルマを入れた後パーキングブレーキを掛け忘れてフットブレーキから足をはなし、ガクンと一段前進して停止するというちょっと不快な動作を何度かやらかしたものだ。
モーターが壊れたり、制御システムにバグがあって誤動作したりする可能性はゼロではなく、不安が無いわけではないが、便利な機能は一度使い慣れてしまったら手放せない。
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