愛犬ラブラドール 迫り来る別離の刻 

2015/01/10

愛犬

X f B! P L
この冬の始まりとともにいつも歩いていたお散歩のロングコースが歩けなくなってきた我が家の長女ラブラドール。
年末には家の周辺一周すらおぼつかない状態に。 

2月には13歳の誕生日を迎えるのだが、もっと高齢で元気なワンコも少なくない。
まだまだ元気にお散歩したいと思っていた。 

2015年の年明けとともに状態は急激に悪化して歩くことすらままならなくなってきた。 
かかりつけの病院で検査をしてもらった所、重度の腎不全。
血液検査の結果はBUN(尿素窒素)は140(正常値は4.1~31.4)、Cre(クレアチニン)は10.4(正常値は0.2~1.6)。
肝機能や血糖の数値も正常範囲を超えていた。


毛艶も良くちょっと見は普通で元気なワンコにしか見えないのだが・・・


この娘には腎臓が1つしか無い。

2歳の時、突然のハンパ無いオシッコの量にびっくりして近所の動物病院へ連れて行った所、腫瘍が見つかった。
開腹してみると子宮、卵巣、右側の腎臓に腫瘍が拡がって癒着していることが判明し、全摘するかそのまま縫合して最後を看取るかの決断を迫られた。

もちろん手術をお願いした。
子宮、卵巣、右腎臓を摘出し、数日の入院を経てエリザベス・カラーを付けて帰宅したこの娘は、腎臓病犬専用の処方食ペットフードだけで、腎臓に負担をかける塩分その他の成分を含むおやつ類を一切与えない生活が始まった。

その当時、手術後10年も生きるとは家族の誰も思わなかったし、病院の先生も余命の宣告はしなかったものの、長生きは出来ないのではないかと言われていたように記憶している。


術後2年が経過して、ヨダレの量がすごかったり水の飲み方が異常だったりと”普通じゃない”ところはあるものの元気な様子を見て処方食から普通のペットフードに切り替えた。


そしてそれから8年。


不調の兆候は去年の夏の終わり頃から始まっていた。
いつもお散歩に行く時のウェアに着替えていると気配を察知してサークルの中で待ちきれずに立ち上がってピョンピョンする娘なのだが、ピョンピョンしている最中にひっくり返ってお漏らししてしまうこと数度。

トイレはいつも屋外の通路においてあるバリケンの前なのだが、トイレシーツに辿り着く前にドタッとひっくり返ってお漏らしをしてしまったり。

老化のせいかと思っていたのだが、お散歩やトイレの後にいつもならピョンと飛び越える玄関の10cm程度の段差を前に立ち止まって上らなくなってしまうに及んで尋常では無いなと思い、年明けに病院へ行って検査してもらった結果は冒頭に書いた通り。

医師からは補水や吐き気止め成分の点滴で様子を見る意外になすべきことは無いと言われた。
元気な腎細胞が多く残っていれば多少の快復はあるかも知れないが多くは期待できないとのこと。
癌の手術をして10年も元気に生きたことは本当に運が良かった娘だとも。


家族会議の結果、自然にまかせることになった。


一昨日には後ろ脚が全く立たなくなってオムツを当てるようになり、今日はもう前脚にも力が入らなくなって完全に寝たきり状態になった。
自分の状態を悟っているのか食べる気力もないのか、大好きだったブロッコリーやササミなどを口の前に持って行っても口にしない。
水は時々飲んでいるものの、呼吸は荒く目つきも虚ろになってきた。

”ありがとね”と声をかけて頭を撫でてあげるとどうしても涙が出てきてしまう。

できることなら、ブリーダーのお宅で3頭の兄妹の中からこの娘を選んだ次男が家に帰省している間にお別れをしたいと思うのは我儘だろうか。

体重30kgのラブが入れる大型のケージを余裕で積むことができるという基準でボルボ850エステートからパサートヴァリアントと20年近くライトバンタイプのクルマに乗り継いできた。
(ワンボックスは嫌いなので)



悲しいけれど、もう大きなケージを積むことは無いと思うので、大きなクルマは必要ないね。


”子供が生まれたら犬を飼いなさい”
どこかの国の古くから言い伝えられている諺だという。
今、彼女は身を持って命の尊さを教えてくれている。
成人式を迎える息子が涙を滲ませる姿に、彼も純粋さは失われていないと安堵してみたり。


家族が口論する横でまるで仲裁するようにバタバタと足を踏み鳴らして注意を自分に引きつけたり、他のワンコと挨拶をしているとその間に割り込んでくるヤキモチ焼き娘の姿にどれだけ癒やされてきたか計り知れない。

家族が減る。
悲しいことだ。



<追記>
この記事を書いた日の深夜、彼女は眠るように旅立ちました。
彼女が私達家族に与えてくれたたくさんの事が頭の中に次から次と現れて、しばらく涙が止まりませんでした。


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